明日で10年

今年は10年目ということで各メディアで特集等が組まれていることと思いますので、ここで東日本大震災の詳細について触れることは控えておきます。

 

震災以降、住宅の耐震化率という言葉をお聞きになった方も多いかと思います。

全ての建物に対する耐震性能を備えた建物の割合のことですね。

公表されている最新のデータ(平成25年)によりますと、住宅に絞った福岡県の耐震化率は戸建て住宅で66.1%、共同住宅(マンションやアパートなど)で95.3%となっております。

因みに福岡市内(平成25年)では戸建て住宅で69.6%、共同住宅で90.8%となっております。

画像は福岡県及び福岡市よりダウンロードした耐震に関する資料の一部です。

 →福岡県HP「福岡県における耐震化の課題」

 →福岡市HP「福岡市耐震改修促進計画」

S56以前の住宅数が10年前より2万件も増えていたりと比較検討する上でいろいろ突っ込みたくなるような内容もありますが、私が一番注目してもらいたいのはS56以降(S57以降)のいわゆる新耐震といわれてる住宅を(耐震診断もせず)そのまま「耐震性あり」として評価している点です。

弊社でもよく耐震診断業務をさせていただく機会があるのですが、S56以降の住宅であっても「耐震性あり」と評価できるものは正直なところ半数くらいしかありません。これは弊社が特段厳しく評価しているわけではなく、福岡県が実施している耐震診断アドバイザー業務と同等の調査方法に基づいて評価しています。

またそれは弊社近郊または福岡圏内に限定したことでもなく、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(=木耐協)のHPで公開されている資料によりますと全国的に弊社同様の評価となっているようです。

 

ここで簡単に耐震診断の評価について述べておきます。

評点は4段階に分かれ、1.5以上を倒壊しない、1.5未満1.0以上を一応倒壊しない、1.0未満0.7以上を倒壊の可能性がある、0.7未満を倒壊の可能性が高いとしています。

現行の耐震性能を1.0とし、診断の対象となる住宅がどの程度の耐震性能を保有しているかといった評価方法をとります。

 

画像の「年代別耐震性(評点)の推移」を見ていただくと、平成12年でようやく評点の平均値が1.0を満たしていることが分かるかと思います。

平成12年という年は、実は阪神淡路大震災による木造住宅の甚大な被災状況に伴って改定された建築基準法が施行された年なのです。この法改正により木造住宅の耐震強度やバランス性能が強化されました。これを私たちは「2000年基準」や「新新耐震」なんて呼んだりしています。

因みに真の現行基準(最新耐震性能)は、先述の「2000年基準・新新耐震」なんかとは比較にならないレベルと思っていただいて構いません。

とはいえこれから実際に起こりうる地震がどのような破壊方法をとるかなんてある程度の推察はできたとしても、所詮は誰も解らない机上の空論なのです。

どれだけ強固な基礎を作ったとしても、その基礎が乗っている地盤そのものが傾いてしまったり割れてしまったりすると・・・

 

話が若干逸れましたが、平成12年以前に建てられた住宅は今一度耐震性能について見直されておいた方が良いかと思われます。

昭和56年以前の住宅につきましては、いろいろ補助があって一般診断(簡易な診断)であれば3,000~6,000円程度で診断することが可能です。

詳しくは→福岡県建築住宅センター

昭和56年以降の住宅につきましては、国や地方自治体は(新耐震=耐震性あり)と評価していますので補助制度なんて当然存在しません。おおよそ100,000円前後の費用が発生することになるかと思います。

もちろんこれは診断のみの費用です。

いずれにおいても目的は診断ではなく、耐震化であることをお忘れなく。

 

体の健康診断と同様、早期発見早期治療によって大事に至らなければそれで御の字。このくらいで家族の健康を守れるのなら案外安いかも???