先日、スギノイに行ってきました。
別府温泉ではなくスギノイ(スギノイ温泉?)もうあれはひとつの文化ですよね。
朝出発、昼食はSAで軽く済ませ到着後早速プールへ、何度もウォータースライダーの階段を駆け上がり17頃時から早めの夕食(今回は水槽があるの方で)生ハムメロンを1年分味わってまたプールへ(今度は温泉プール)仕上げに棚湯。翌朝、もうひとつの大浴場(朝食会場のすぐ隣)で目を覚ましてそのままモーニングへ、恒例のソフトクリームインクロワッサン。最高。チェックアウトと同時にプール(スライダー)へ、ここでも1年分のスライダーを味わって時刻は夕方、再度棚湯で仕上げて帰路へ・・・癒されに行ったつもりが超ヘトヘト。とはいえ、何億と年収がある訳でもないのにやれ5ツ星、やれラグジュアリーと叫んでは「これが大人の楽しみ方」なんてカッコつけていた若き時代よりは何百倍も楽しくそして幸せなひと時を過ごせました。
さっそく前回の続きから
そもそも最低(サイテー)基準である建築基準法の構造強度(耐震強度)って一体どのくらいの安全性能を想定されているのでしょうか?
実はこれは法令の中で極めて解り難く示されています。そこでこの場を借り超簡単にほぐしてみたいと思います。
とはいっても使用する言葉は所々非常に解りづらいかと思いますので、とりあえずは数字だけを見ていてください。
【建築基準法】
①時々発生する程度の地震(建っている期間中に必ず受けるであろう地震:震度5程度)に対して『損傷』すらせずに財産(家や家財、補修費など)が守られること
②極めて稀に発生する程度の巨大地震(震度6~7程度)に対してなんとか『倒壊』まではせずに人命が守られること
と想定されています。
とりあえずこのまま続けます。
ではよく耳にする『耐震等級』とは一体?
【耐震等級】
①耐震等級1⇒建築基準法と同じ強度
②耐震等級2⇒建築基準法で想定している地震力(揺れのこと)の1.25倍に耐える強度
③耐震等級3⇒建築基準法で想定している地震力の1.5倍に耐える強度
うーん、なんとなく分かるようで分かり難いですよね。
耐震等級3ならば建築基準法の1.5倍・・・ってことは震度5×1.5=震度7.5の揺れでも損傷せず、震度7×1.5=震度10.5の揺れでも倒壊しないってこと?
であればもう何も心配することはないのですが、全く違います。そもそも震度階というものは上限が7までしか存在していません。
では、どういうことか?
いきますよ数字だけ見ていてくださいね。
震度5程度の地震における想定地震力(加速度)はおよそ80~100ガルとされています。
また、極めて稀に発生する巨大地震の方の想定地震力(加速度)はおよそ300~400ガルとされています。
ということは、耐震等級2であれば加速度400ガル×1.25=500ガルの地震力でも『倒壊』せずに人命が守られる。耐震等級3であれば加速度400ガル×1.5=600ガルの地震力にも耐えられるということになります。
今「なるほどそういうことか」ってなっていますか?
なっていないのであれば、もう一度数字だけを見てくださいね。
『損傷』について
建築基準法⇒加速度100ガルの地震力でも損傷しない強度
耐震等級2⇒加速度125ガルの地震力でも損傷しない強度
耐震等級3⇒加速度150ガルの地震力でも損傷しない強度
『倒壊』について
建築基準法⇒加速度400ガルの地震力でも倒壊しない強度
耐震等級2⇒加速度500ガルの地震力でも倒壊しない強度
耐震等級3⇒加速度600ガルの地震力でも倒壊しない強度
だいたいこんな感じになります。
「なるほど(でもガルって一体・・?)」となっていますか?なってい人は一番最後の部分だけ読んでください。それでいいです。とにかくガルは無視してください。でもどうしても知りたい方はこちらをご覧ください⇒「ガルとは?」
ここからが本題。
熊本地震(益城)で記録されたガル(最大加速度:気象庁発表)
①4月14日(前震)⇒約800ガル
②4月16日(本震)⇒約900ガル
ここでもガルが出てきましたが、ちゃんと無視していますか?
気にしてもらいたいのはガルではなく数字の方です。
前震2日後の本震で記録した最大加速度は約900ガルもあったんです。
耐震等級1(建築基準法)の耐震性能(地震力)400ガルの2.25倍
耐震等級3の耐震性能(地震力)600ガルの1.5倍
という地震力が発生していたという計算になります。
因みに気象庁とは別の防災科学研究所の強震観測網KiK-net益城という観測点で計測された4月14日(前震)の最大加速度は1580ガルでした。しかもこの熊本地震では1000ガル級の揺れが1回だけじゃなく複数回観測されました。
あれ?これってもしかして?たとえ耐震等級3なんかで耐震設計されたとしても全然ダメなのでは?
その通りですね。
本来ならこの加速度がどの程度の時間で発生して云々・・・という計算を経て速度、変位量を算出していくのですが、この計算過程でとても大事になってくるのが周波数(Hz)というものになります。
細かい説明は省略。
知っておいて欲しいのは、ある一定の建物(今回では木造2階建ての一般的な住宅)を専門的に揺らす『キラーパルス』という周波数の存在です。
それはまた今度・・・
京都大学 生存圏研究所 生活圏構造機能分野 中川貴文准教授が開発された「wallstat」という倒壊解析ソフトを用いて、ギリギリ耐震等級3をクリアした仮想の建物を熊本地震と同じ地震波(4月14日益城:気象庁)で揺らしてみました。すると見事に倒壊しました。もちろんその2日後に発生した本震を待たずにです。
それからあれやこれや補強したり制震装置を用いたりしてなんとか熊本地震で発生した複数回の強震にも耐える建物を創り上げたのですが、それもまた次回のお話で・・・