地震と耐震と木造

一昨日(18日夜)山形県沖を震源とするM6.8、最大震度6強の地震がありました。

昨日までそれに伴う余震が続いていたということで、被災地にお住まいの方々また被災地の支援活動に向かわれている方々の胸中をお察しします。

 

九州(福岡県)も、もう他人事ではありません。

これから家をごご検討中の方、既に計画中の方や現在もう住まわれている方は「我が家の耐震」について今一度考えてみる事を強くお勧めします。

分からないことや訊いてみたいことがありましたらお気軽にご相談ください。

 

今日までの耐震の歩み

1891(明治24)濃尾地震 M8.0

1894(明治27)木造耐震家屋要領→基礎構造や筋かいの提案

1920(大正  8)市街地建築物法施行→高さ制限、木材防腐措置、柱の径など

1923(大正12)関東大震災 M7.9

1924(大正13)市街地建築物法改正→筋かい義務化(3階建て)

1948(昭和23)福井地震 M7.1

1950(昭和25)建築基準法施行→筋かいの量(壁量)を規定

1959(昭和34)建築基準法改正→必要壁量の強化

1964(昭和39)新潟地震 M7.5

1971(昭和46)建築基準法施行令改正→基礎に鉄筋、強風に対する壁量

1978(昭和53)宮城県沖地震 M7.4

1981(昭和56)建築基準法改正→新耐震基準、基礎の強化、壁量の強化

1983(昭和58)日本海中部地震 M7.7

1995(平成  7)阪神・淡路大震災 M7.2

2000(平成12)建築基準法改正→壁のバランス、基礎鉄筋、柱梁金物固定

2000(平成12)品確法施行→耐震等級、耐風等級

2000(平成12)鳥取県西部地震 M7.3

2001(平成13)芸予地震 M6.7

2003(平成15)宮城県沖地震 M7.0

2003(平成15)十勝沖地震 M8.0

2004(平成16)新潟県中越地震 M6.8

2005(平成17)福岡県西方沖地震 M7.0

2007(平成19)能登半島地震 M6.9

2007(平成19)新潟県中越沖地震 M6.7

2011(平成23)東北地方太平洋沖地震 M9.0

2011(平成23)静岡県東部地震 M6.4

2016(平成28)熊本地震 M6.5

2018(平成30)大阪府北部地震 M6.1

2018(平成30)北海道胆振東部地震 M6.7

2019(令和元)新潟・山形地震 M6.7

 

平成12年の建築基準法改正以来、現在に至るまで構造に関する法令はほとんど変わっておりません。

熊本地震以降、ハウスメーカー等のCMや展示場などでは「震度7に〇〇回耐える家」などのメーカー独自の耐震性能アピールが目立つようになってきました。

建築基準法というのは第1条にも記載されているのですが「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて・・・」建物の最低基準を定めた法律なのです。

もちろんこの最低基準はいろんな根拠に基づいて定められてはいるのですが・・・まあ本当に最低(サイテー)の基準です。

以前にも少しだけ触れましたが、一般的な木造2階建て規模の住宅には建築確認申請における「特例措置」というものがありまして申請時に「構造計算書」の添付を必要としません。

「建物の規模が小さいので書類添付までは要しないよ。ついでに申請書類の確認期間を短縮してあげるし、申請費用も大幅減額してあげるよ」といった感じの緩和措置です。この続きが重要です「その代わり、当方(確認検査機関)は構造に関する一切の責任は取りませんから、もちろん特例ルールなんで逆に構造関係書類の添付なんかもしちゃダメですよ」といった感じの緩和措置?なのです。だからといって構造計算をしなくてもいいというわけではありません。

もしご計画中の方や現在既に住まわれている方は一度その「構造計算書」を見せてもらうか、引渡し時の書類に入っていないか確認してみても良いかもしれません。恐らく殆どの工務店またはハウスメーカーでは存在してないかと思われます。

では一体、その建物はどうのようにして構造(耐震や耐風)の検討がされているのでしょうね?まさか最低基準??うん千万円、何十年ローンを組んでまで建てる家がまさかの・・・

 

話は変わって、木造って構造材が木材(木)でできています。木は植物です。植物はたくさんの細胞からできています。人工物である鉄やコンクリートと違って同じ形や性質(性格)の木なんて存在しません。また木は種類がたくさんあります。種類によってその性質は全くといっていいほど異なります。しかも木自体に方向(異方性:繊維方向、年輪方向、半径方向)が存在し、その強度はその方向によって全く異なります。また植物なので水分を含んでいて(含水率)乾燥した木材と乾燥していない木材とでは時間とともに強度や施工精度が全く異なってきます。植物ということでもうひとつ、腐ります。そしてシロアリの餌にもなります。

と、このように木造建築はその他の鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて不安定要素、不確定要素、シビアかつ難易度のとても高い建物なのです。

 

長くなりましたのでこの辺にしておきますね。

続きはまた次回・・・